東洋医学の基礎―9
陰陽五行(その9)
1. 経絡の概念
- 経絡は経脈と絡脈の総称
- 経は路(路)という意味で、経脈は経絡系統の主要幹線
- 絡は網絡(ネット)という意味で、絡脈は経脈の分支
- 経脈は絡脈とあわせて全身に分布している
- 経絡は全身の気血を運行し、臓腑と体の上下内外とにつながっていて、
体内の各部を調節するための通路
2.経路の構成
- 経脈 :正経「十二経脈」、奇経「奇経八脈」
- 絡脈 :別絡、浮絡、孫絡
- その他:十二経別、十二経筋、十二皮部
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3.正経「十二経脈」の名称と分類
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十二経脈の分類 |
循行部位
陰経行:内側、陽経行:外側 |
陰経 |
陽経 |
手 |
太陰肺経 |
陽明大腸経 |
上肢 |
前綫 |
厥陰心包経 |
少陽三焦経 |
中綫 |
少陰心経 |
太陽小腸経 |
后綫 |
足 |
太陰脾経 |
陽明胃経 |
下肢 |
前綫 |
厥陰肝経 |
少陽胆経 |
中綫 |
少陰腎経 |
太陽膀胱経 |
后綫 |
※前綫・中綫・后綫は、体の空間を分けたもの
4.十二経脈の分布部位と主な病、症
(分布は複雑なので省略)
十二経 |
主な症状 |
1 |
手太陰肺経 |
胸が苦しい、膨脹感、喘息、せき、イライラ、手のひらが熱い、頻尿で少量、喉が渇く、喉が腫れる、痛い、肩、背中が痛い、など |
2 |
手陽明大腸経 |
下の歯が痛い、喉が腫れ痛い、鼻血が出る、鼻水が流れる、口が乾燥している、目が黄色くなる、首が腫れる、肩が痛い、あるいは運動障害、など |
3 |
足陽明胃経 |
汗が出る、但し高熱が下がらない。鼻血が出る、口唇及び口内潰瘍、よだれがでる、頭痛、首が腫れる、音に対する恐怖感、お腹が張る感じ、腹水、足の甲及び第3足指が痛い、あるいは運動障害、など |
4 |
足太陰脾経 |
舌が回りにくい、食後嘔吐感がある、疲れやすい、あるいは無気力、体が重い、食欲が低下、お腹が張る感じ、大便は下痢気味、足の内側が腫れ、あるいは冷える、足親指の運動障害、黄疸、など |
5 |
手少陰心経 |
心臓の痛み、喉が渇く、胸、脇が痛む、目が黄色い、手の平が熱い、など |
6 |
手太陽小腸経 |
耳が遠い、目が黄色い、のどが痛い、下のあご及び首の腫れと痛みが原因で首が回らない、など |
7 |
足太陽膀胱経 |
頭と首がつっぱり、痛む、痔、目が黄色い、涙が出る、眼球が脹痛、半身不随、足の小指が痛い、あるいは運動障害、など |
8 |
足少陰腎経 |
息切れ、咳で血が出る、頭が酔った感じ、めまい、恐怖心が強い、口、舌が乾燥している感じ、喉が渇く、脹れ、痛い、イライラ、下痢、腰痛、下半身無気力、足の裏が熱い、心臓が痛い、など |
9 |
手厥陰心包経 |
心悸、イライラ、胸と脇が痛い、精神的異常、両腕の痙攣、手のひらが熱い、脇が脹れる、顔が赤くなる、目が黄色い、など |
10 |
手少陽三焦経 |
耳が遠い、喉が脹れ、痛い、両側のあごと耳の後ろが痛い、肩、手の小指が痛い、あるいは運動障害、汗が出る、など |
11 |
足少陽胆経 |
寒気と熱が交互に表れる、口が苦い、ため息が多い、脇が痛い、偏頭痛、尻、膝、第四の足指が痛い、あるいは運動障害、など |
12 |
足厥陰肝経 |
脇が痛い、胸が脹満感、嘔吐、下痢、ヘルニア、尿が出ない、腰痛、婦人の下腹痛、など |
症状がでると、その経絡につながっている臓腑から悪い気が出た結果であり、
いずれ臓腑に病気が発生するという警告である
※ 陰脈の気の流れは、下→上、上→下(逆流)と両方に流せる(血管との大きな違い)
5.奇経「奇経八脈」
6.絡脈
(1)別絡 : 十二経脈と任、督、脾之大絡を合わせた十五脈
(2)浮絡 : 表面にある絡脈、西洋医学の表面神経のこと
(3)孫絡 : 絡脈の中で最も小さい分支、毛細血管にあたるもの
7.その他
(1)十二経別:十二経脈から少しはずれた正式の経、同じく経脈範囲内のもの
(2)十二経筋:十二経脈を通るところの筋肉系統
(3)十二皮部:十二経脈の皮膚表面特点反射地域(ツボが管理する面積=神経の支配地域)
※ 以上の三部分は十二経の位置と一致しているため、名前も十二経脈と同じ
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